屋久島・宮之浦岳 2013.5.30-6.03

やくしま・みやのうらだけ・1936m(鹿児島県屋久島町)



屋久島は周囲約132km。火山島ではなく、大部分は花崗岩からなっている。中央部には日本百名山の一つで九州地方最高峰の宮之浦岳 (1,936m) がそびえるほか、他にも数多くの1,000m級の山々を有し、「洋上のアルプス」の呼び名がある。



大きな地図で見る




移動日(5月30日) 萩 〜 鹿児島港〜屋久島(安房)

2013.5.30新山口駅から新幹線さくらで鹿児島駅へ。九州新幹線が完成して山口県から屋久島への移動時間が飛躍的に短くなり、きっと西日本から屋久島へ行く人へ増えたことだろう。新幹線の最終駅である鹿児島中央駅周辺は、真新しく、モダンでとても華やかだ。鹿児島中央駅からバスで鹿児島港の高速船乗場に向かう。

以前、東京都の奥多摩、神奈川県の丹沢などの山々を何度も一緒に巡った、会社の先輩と高速船乗場で久しぶりの再会。高速船トッピーに乗り、屋久島・宮之浦港に向かう。鹿児島港から宮之浦港までは1時間40分の乗船時間だ。宮之浦港からは路線バスに乗り、屋久島の雰囲気を感じながら1日目の宿泊地である安房(あんぼう)に到着する。予約しておいた民宿「とまり」に荷物を置く。早速安房の街を散策し今夜の前夜祭に適当な場所がないか探索したところ、ちょうど適当な居酒屋を見つける。その店の女将さんは東京出身の人で、店員はその人の娘さんだった。夕食にはおいしいトビウオの刺身などを楽しみ、締めはトビウオのお茶漬けを食べた。うめー!!旅はいいよな! 今回の山行を実行する上において、数ヶ月前から綿密な計画を立て、先輩は仕事のスケジュールを調整をして、ようやく実行に漕ぎ着けた。何事にも実行力は大事なのだろう。実行しなければ何もない・・・。




1日目(6月1日) 屋久島(安房)〜 荒川登山口 〜 宮之浦岳 〜 新高塚小屋

歩行距離 9.9km
所要時間 8時間25分
累積標高差 (+) 859m  (-) 758mm
コース 淀川登山口05:50 → 花之江河08:15 → 投石平09:20 → 宮之浦岳11:45
 → 焼野三叉路12:20 → 新高塚小屋14:15




6月1日早朝1日目の朝食・昼食となる弁当(1人1000円)を近くの弁当屋で受け取り、05:00前日予約しておいたタクシーに乗車し淀川登山口に向かう。途中、朝食を食べながら運転手さんから屋久島の話を聞く。淀川登山口に到着。早朝で、おまけに天候は雨にもかかわらず、登山口は登山者でごったがえし、トイレも順番待ち状態である。一体、一日何人の登山者が山に入って行くのだろうか。05:50 淀川登山口を出発。荒川の鉄橋を渡り花崗岩の道を登っていく。08:05高層湿原の小花之江河を、08:15その先の同じく花之江河を通過。木道の上を歩き、周りは日本庭園のようだ。ぽつりぽつりとヤクシマシャクナゲの花を見るようになる。花崗岩を掘った急登を張ってあるロープを掴みながら登っていく。09:20投石平に着く。大きな岩の上に上がると周りは一面のヤクシマシャクナゲの大群落が見え、思わず声をあげてしまう。なんと美しい光景か・・・。ヤクシマシャクナゲは桜のように花がかたまって咲き誇る。視界が良ければここで黒味岳が見えるはずであったが・・・。投石平を通り過ぎたあと、後続の山ガールの感動の叫び声が聞こえてくる・・・。

沢のように水が流れる花崗岩の道を登っていく。ヤクシマシャクナゲが絶え間なく咲く道を行く。晴れていれば安房岳、翁岳がみえるはずだが・・・。雨の中、山の上にはいくつもの巨大な岩の影が浮かび上がる。最後の水場で水を補給したあと、栗生岳・宮之浦岳へのきつい登りが始まる。栗生岳に着く大きな岩影に祠がある。息を切らしながら11:45 宮之浦岳山頂(1938m)に達する。山頂には20人ほどの登山者いるだろうか。一瞬空が晴れかけて、となりのピークが見えたが、それもつかの間、すぐにガスに遮られた。2011.5の縦走時もそうだったが雨が降り終始視界が悪く、景色を見ることができなかった。今回も雨に祟られ、またも見ることができない。他の登山者のガイド話によれば雨の多い屋久島では、山の上で晴れていることはまれで景色を見ることができた人は幸運だそうだ。山の上で弁当を食べる。12:10 宮之浦岳から下山開始、慎重にヤクザサの急坂を下る。途中またヤクシマシャクナゲの大群落に出会う。12:20 焼野三叉路を通過、ここを左に曲がれば1時間で屋久島第二の高峰永田岳に着く。今回もパスし、そのまま直進する。平岩を過ぎ、険しい岩場の第二・第一展望台を越える。

14:15 新高塚小屋に到着。すでに到着している登山者は数名で、小屋の奥の隅に寝場所を確保する。定員は40名の上、夕方近くにはたくさんの登山者が押し寄せるので、事前に早く到着するよう計画しておいたことが功を奏した。案の定、遅く到着した人は雨の降る中、小屋のそばでテント泊を張っていた。それも忘れられない思い出になるかもしれないが・・・。荷物を整理しマットを敷き、シュラフを広げたあと、早速先輩と酒盛り開始、他の登山者と情報交換する。山では知らない者同士でも、山の話題で話がはずむ。神奈川県から来た会社員のような若者、大阪から来た元気のいい女の子2人組(投石平で叫び声をあげていた)、ベルギーのカップル他。我々の下手な英語を交え会話が弾む。

夕食の調理は自分が担当。鳥の炊き込みご飯、オクラとトマトのツナ和え、それと焼豚のソテーのフルコース。持参したきゅうりの漬物も用意する。量が多いので他の登山者にもおすそ分けした。体力を消耗したあとの食事は、何を食べても美味しいはずだが、ベルギー人カップルには焼豚の味は合わないようだった。すんません・・・。オクラとトマトのツナ和えは気に入ってもらえたようだが・・・。楽しい山の一夜が過ぎていく。 日が暮れた頃、小屋の前の木の上に子連れのヤクザルの群れ、そして苔むした地上にはヤクシカ一頭が現れる。残飯を狙っているのであろうか。猿の群れに目をやると、リーダーらしきサルはこちらを睨み、我々人間を威嚇してくる。深い自然の中にいることを実感する。ガイドの話によるとヤクシカは塩分を求め、登山者が捨てたラーメンのスープを舐めにくるそうだ。山ではたとえスープの残りでも捨ててはだめだとガイドは言った。また、小屋の中には小さいネズミがいて、夜中に小屋の中を走りまわるので、食べ物は全てザックの中にしまっておくことが大事だとも注意された。酒飲み二人、担いできた一人500mlずつの焼酎はあっという間に無くなる。まだ飲み足りないけど明日のことを考えて早く寝よう・・・。しかし思っていたとおり、夜中はいびきの合唱になった。小屋泊は早く眠りに就いたほうが勝ちだ!!





2日目(6月2日)  新高塚小屋 〜 縄文杉 〜 荒川登山口

歩行距離 11.5km
所要時間 5時間45分
累積標高差 (+) 395m  (-) 1262mm
コース 新高塚小屋06:45 → 縄文杉07:40 → ウイルソン株09:05 
→ 大株歩道入口09:45 → 小杉谷集落跡11:30 → 荒川登山口12:30



簡単な朝食すませ、06:45 新高塚小屋を出発。前日は屋久島シャクナゲを楽しんだが、2日目は屋久杉である。整備された宮之浦歩道の要所には、頑丈な木製の階段が設置されてある。急な下りの場所が多いので、滑らないように注意して下る。急坂を下ると高塚小山に到着する(前回の屋久島で今回とは逆方向のコースを辿り1日目に泊まった小屋である。)。昨日の新高塚小屋でのガイドの情報によれば、高塚小屋は今日の午後、付近を通行止めにして取り壊されるとのことだった。新しい小屋は、篤実登山家の寄付により、近いうちに同じ規模(定員20名程度)のモダンな小屋が建つそうだ。前回の屋久島縦走の初日では、白谷雲水峡から出発し、暗くなりかけた夕方、疲労困憊してやっとの思いでこの小屋にたどり着き泊まったことがある。その時、二階の半分のスペースが幸運にも空いていた。何か感慨深いものがある。

高塚小屋からその先の木製の階段を下っていくと、屋久島を代表する縄文杉がある。縄文杉の周囲は立派な木製デッキがあり、少し離れた場所から見る。大きく圧倒的な存在感がある。木が何か話かけてくるような感じがする。 縄文杉から木道が要所にあり、整備された大株歩道を下る。途中、夫婦杉、大王杉を見つけながら下っていくとウイルソン株に着く。人気パワースポットは登山者でいっぱいである。縄文杉のような巨木であったウイルソン杉?は、豊臣秀吉の命令で切り倒されたとのこと。内部は空洞になり祠が置かれている。内側から空を見上げると切り株上部がハート型に見える場所がる。前回にはその場所を見つける事ができなかったが、今回他の登山者のガイドの説明を聞いてその場所知る(写真参照)。ウイルソン株から翁杉を経て大株歩道入口に出る。

ここから荒川歩道まで延々とトロッコ道が続く。安房川沿いにレールの真ん中の板の上を歩く。途中仁王杉、三代杉を見ることができる。前を行く先輩の歩くペース相変わらず早く、ついて行くのがやっとだ。白谷雲水峡に向かうコースへの分岐(楠川別れ)を通ると、昨日新高塚小屋で一緒だった大阪の女の子2人に出会う。白谷雲水峡の方に下るようだ。通り過ぎていく我々に「ありがとうございました!!」と元気な声で挨拶をする。こちらこそ!気をつけて!!途中何度か屋久シカを見るが、人間には無関心。30分くらい歩いて行くと小杉谷集落跡がある。昭和40年代まで屋久杉伐採が行われ、最盛期には500人もの人々が住んでいたとのこと。安房川に架かる鉄橋の1つには欄干が付いておらず、臆病な自分は冷や冷やしながら渡る。

岩盤をくりぬいただけのトンネルをくぐり抜ける。渓谷は徐々に高さを増し河原がはるか眼下に見える。最後の鉄橋を渡って右に折れると山行の終点、淀川登山口に着く。登山口には、立派な管理者控所とトイレがある。町役場の職員がちょうど協力金箱募金を回収に来ていたので、200円寄付する。協力金は、主に山小屋のトイレの汚物の処理作業に使われとのこと。管理事務所の人の話では、たまに午後から山に入る外国人がいて、危ないので止めるように注意するが言うことをきかないそうだ。行方不明の遭難事故は年に数回あるようだ。険しく深い森の屋久島は、そう簡単に人を受け入れてはくれない。 バスの待ち時間があったので棒ラーメンを作って食べる。安房行きのバスに乗り終点の屋久杉自然館前まで行き、あとはタクシーで初日に泊まった民宿”とまり”まで行く。夜は先輩と恒例の反省会を行う。初日に行った居酒屋の姉妹店で美味しい晩御飯を食べる。先輩は明後日からまた仕事だ。俺のほうはまだ長い休暇。どうもすみません。お疲れ様でした。明日は萩に帰ろう。

移動日(6月3日) 安房港より、高速船トッピーで鹿児島港まで行き、新山口駅まで新幹線に乗り萩まで帰る。







丹沢山
新山口駅で新幹線”さくら”に乗車する。
丹沢山
鹿児島駅に到着する。
丹沢山
鹿児島港より高速船"トッピー"乗る。
丹沢山
早朝に淀川登山口から山行開始・体調は万全!!
丹沢山
淀川登山口
丹沢山
淀川小屋で小休止する。
丹沢山
鉄橋を渡る。
丹沢山
小花之江河(こはなのえごう)
丹沢山
小花之江河・他のグループの親切なガイドさんに情報をもらう。

丹沢山
小花之江河の向こうにある花之江河
丹沢山
花之江河(はなのえごう)
丹沢山
花崗岩の急登を登って行く。
丹沢山
沢のような急登を登る。
丹沢山
投石平で小休止
丹沢山
投石平を過ぎるとヤクシマシャクナゲの群落がある。
丹沢山
宮之浦山山頂に到着する。神奈川県から来た若物と親切なガイドさん。
丹沢山
宮之浦山頂・雨がしとしと何も見えない・・・。
丹沢山
永田岳への分岐・焼野三叉を通過。永田岳の登頂は中止。
丹沢山
平石岩屋
丹沢山
ヤクシマシャクナゲの群落の中を行く。

丹沢山
丹沢山 丹沢山
← 岩場を登る。
↑ 新高塚小屋に到着する。寝場所を確保する。

丹沢山

高塚小屋
前回の屋久島縦走の1日目に泊まった小屋である。偶然にも今日
取り壊されるこになる。あとに新しい高塚小屋が建つ予定だ。
丹沢山
自然林の森を行く。→
丹沢山

縄文杉
縄文杉周りにはデッキが設置されている。
丹沢山
丹沢山
丹沢山
ウイルソン株の周りの杉の木
丹沢山
ウイルソン株とベルギーのカップル
丹沢山
ウイルソン株内部で見上げるとハート型の場所がある。

丹沢山
ウイルソン株を背に。
丹沢山
仁王杉(阿形)
丹沢山
三代杉
丹沢山
大株歩道入口・下ってきた道を見る。

丹沢山
トロッコ道になる。
丹沢山

丹沢山
丹沢山
小杉谷集落跡

丹沢山
こすぎたに橋を渡る。
丹沢山
こすぎたに橋から上流を見る。

丹沢山
こすぎたに橋から下流を見る。
丹沢山
丹沢山
丹沢山

↑岩盤剥き出しのトンネルを歩く。
← 渓谷は高さを増していき、深い渓谷沿いのトロッコ道を歩く。
丹沢山
荒川登山口に到着する。バスを待つ。

丹沢山
翌日、トッピーに乗り鹿児島港へ。
丹沢山
トッピーから屋久島をみる。

丹沢山
佐多岬が見えてくる。

2011.5.09-10 屋久島縦走・宮之浦岳(前編)も見る。

2011.5.11-13 屋久島縦走・宮之浦岳(後編)も見る。




■ HOMEへ戻る

総合登山記録  山口県の山  中国百名山 九州百名山  四国百名山  日本百名山   関東の山 南アルプス 屋久島縦走    
航海記録  旅の記録  海の風景・ギャラリー  沖縄  山で見た花


Copyright(c)2014 軽きゃんぱー里山放浪記. all right reserved.